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30代が英国でデータサイエンスを学ぶ

特に説明はございません

留学記⑥ イギリスの食事

食事が美味しくない、という話。


 日本に居た頃は大して食事に拘りは無かった。仕事が忙しかったせいもあり、ほとんど自炊することは無かったが、たまに自炊する場合にはスーパーで適当に買ったもので十分だった。自炊できなかった場合、ファーストフード店でも、聞いたことのない店でも、特に味に不満は無かった。むしろ、十分すぎるほどだった。なので、渡英前にはそれほど食事について不安はなかった。
 ただ、昔からイギリスは食事が美味しくないと聞いていたので、渡英前にネットで調べてみた。すると、“最近イギリスの食事は美味しくなった”、“酷いという事前情報を聞いていたがそれなりに美味しい”、という主旨のブログや記事をいくつか見つけた。なので、これなら問題は無いだろう、と安心してしまった。

 
 ところが、こちらに来て1週間で食べたものは、半分以上が不味いと断言できるものであった。どういうことなのかよくわからなかった。何がわからないかと言うと、記事ならまだしも個人のブログでイギリスの食事を肯定している場合、本当に美味しい(or 不味くない)と感じていたのだろうと考えられるのに、私が食べたものは何故こんなに不味いのかということがわからなかった。幼少期から食事を残すということはほとんどなかったのだが、こちらに来て1週間で2回も残してしまった。


 こちらに居る日本人は、私が行くようなスーパーやカフェ、レストランよりもずっと高級なお店に行っているのだろうか。日本で安いものばかり食べているとイギリスの食事は不味く感じてしまうのだろうか。食事の際に何か重要なものを見落としていたのだろうか。いろいろと考えたが、答えはしばらくわからなかった。


 その後、こちらで会った日本人に聞いてみたところ、全員がイギリスの食事は不味いものが多い、と言っていた。対策として、自分の好きな味付けになるように自炊したり、美味しいレストランを探してそこだけに行くようにしたり、工夫しているとのこと。おそらく、私(そして知人の皆様)の感覚は多数派ではないかと思われる。つまり、不味いものもそれなりにある、ということだ。

 ただ、半年近く住んでみて、美味しいレストランもあるし、安くて良いカフェもある、ということはわかった。そりゃ高いお店に行けば美味しい食事が提供されるのかもしれないが、現実的にそれは留学生にとっては難しい。普通の価格帯で行けるお店は、日本人の舌に合わない場合が結構な頻度である。その点は注意しなければならない。


 食に対してあまり良いイメージを持たないまま帰国すると思っていたが、こちらに来て半年近く経過したつい先日、ようやくそれなりの値段でそこそこの味の料理を買えるスーパーを見つけた。いつもの食事よりも数ポンド高くなってしまうのだが、最初にそのスーパーの食材を食べた時には美味しいと感じることができた。おそらく、こちらの料理に舌が慣れてしまったこともあるのだろうが、高級店に行くような選択肢の無い私には十分すぎる味である。


 スポーツ選手が海外に活躍の場を移した時に、食事の面がパフォーマンスに大きな影響を与えるといった話をよく聞くが、日本に居た時にはそれがどういうことなのか、なかなか想像ができなかった。無論、理屈はわかるのだが、体調や気分にどれほどの影響を与えるのかということが、想像力の欠如によりイメージできていなかった。何事も経験とはよく言ったもので、さらに、愚者は経験からしか学ばないという話が自分にぴったりと当てはまっていることに少しガッカリしながら、ようやくそういった話を実感を伴って受け止めることができるようになった。