英国でデータサイエンスを学ぶ

30代になってから海外で統計学・機械学習・プログラミングを勉強

MENU

ロンドン留学記2. ロンドンで絡まれて

ロンドンの某駅前で「お金くれよ」って絡まれた話

日本に居た時はカツアゲなんて経験したことなかった

 幸いなことに、私は日本で暮らしていた時、町中で人に絡まれるという経験がありませんでした。
 私が育ったのは東京近郊の某県の田舎でして、田舎だったから安全だったのか、田舎だからガラが悪かったのか、どちらなのかわからないんですが(なんとなく後者じゃないかと思っていますが)、そういった経験はなく無事に過ごしてきました。高校からは東京に通っていたのですが、友人たちと一緒に放課後遊んでいてもそんな経験はなく、仕事を始めてからもずっと東京に住んでいましたが、お金をくれよと絡まれることはありませんでした。
 まぁ、東京に住んでいた時はあまり治安の良くない場所に住んでいたので、傘が盗まれるなんて日常茶飯事で、マンション内で暴力事件が起きて警察が来たり、明らかに堅気ではない人が集まっているところもよく見かけたりもしましたが、実害はゼロだったんですよね。
 仕事柄、帰りが深夜になることが多かったんですが、2時でも3時でも通りを人が歩いていて、逆にそれが安心だったりして。誰も人がいない方が怖いですからね。
 そして、そういうところに長く住んでいたせいか、なんとなく危なそうな場所には近づかない、という習慣が身についています。

運良くこれまで海外に行っても危険なことがあまりなかった

 私の場合は、"バリバリ海外に行って仕事します"っていう職種でもなかったですし、"プライベートでも毎年海外旅行します"っていうわけでもないのですが、幸いに今まで何度か海外に行く機会がありました。
 海外に行く時はいつも同行者が居たので、なんとなく安心感もあり、危険な場所に近づかなければ大丈夫と思っていました。
 実際、特に大きな問題は経験したことはないんですよ。台北、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルス、シカゴ、等々に行く機会がありましたが、本当に何もなく、これは昨今の情勢を考えるとただ単に運が良かっただけなんですね。
 まぁ、あえて挙げればサンフランシスコで電車に乗っていた時に見ず知らずのおじさんにいきなり足を蹴られて、とりあえずひたすらに謝ってなんとかやり過ごしたっていうことがありましたが、それでも命の危険は全くなく、金銭的要求も全くなかったですから。

なぜかロンドンで「お金くれよ」と絡まれてしまった

 そんなこんなで(なんのこっちゃということですが)、ロンドンに来てからは

  • 危険な地域には絶対に行かない
  • 安全な地域でも人気のないところには行かない
  • 極力夜遅くには出歩かない

ということを愚直に守りながら、過ごしています。

 諸事情により学生寮に入れなかったので、学校からちょっと遠いのですが、自分で不動産屋と交渉してアパート(マンション?)を契約しています。これまでの経験から、都会の方が安全と考えて、静かな住宅街ではなく、夜でも人通りのある地域に家を借りています。なのでこれで安心、と思って過ごしていたんですが、、、

 その日は、いつものように大学院での授業を終えて、図書館で勉強をしてから午後5時くらい(まだ明るい)に最寄駅から歩いて帰っていました。歩いてと言ってもまだ駅から全然離れていなかったのですが、突然、見ず知らずの人に大きめの声で話しかけられて立ち止まってしまったんです。まぁ、まだ明るいし、周りにも人がいるし、特に疑うこともなく相対したんですが、いきなり「お金くれよ」と。いや、いきなりすぎるだろ。。。。
 曰く「初めてイギリスに来て、お金が足りなくなったので、電車賃だけくれ」と。
 極めて英語が下手な私でもわかる英国圏外出身の発音とお金が必要なんだという勢いに、怪しいなぁと思いながらも立ち止まってしまったんですよね。これがよくなかった。
 「何故お金がないのか?電車賃だけもらっても解決しないだろう?」と返事をしてしまったんです。
 よくないですね。相手をするだけ無駄なのですが、経験がないとわからないものです。
 すると何を言っているのかわからない説明(反論)をし始めて、1分くらいその場に居ましたが全く意味がないので「いきなりお金くれと言われても無理だよ」と言ってそのまま去ろうとしたところ、腕を引っ張られて「神様が云々」と言い始めて。。。。。
 なんかやばい人だなぁと思いながら、昔テレビで"いきなり話しかけて気を引かせたところで、仲間が裏から回って鞄の中身を盗んだりするシーン"を見たことがあったので、自分のバッグを抱え直し、「嘘はやめてくれ」と言って、また去ろうとしたんですが、今度は上着を掴んできて、無理矢理止められてしまいました。。。

 この時若干怖くなったんですが「お金はあげないから」と大きめの声で拒絶したら、日本人でも理解できるような罵声を浴びせてきて。。。。
 いや、もう、ひどいもんですよ。
 完全に初動を失敗したなぁと後悔しながら、雰囲気的に命に関わることにはならないだろうと感じて、「帰るんだから離せ」と行って去ろうとしたら、今度は「こっちの時間を奪ったんだから金を寄越せ」というようなことを言ってきて。
 ひでぇだろそのロジック、、、、なんて思いながら、周りを確認したら人がたくさん居たので安心して、私の襟を掴んでいた腕を力いっぱい振り払って、「絶対にお金は出さない」と言い捨てて、帰ってきました。
 もちろん向こうも追いかけてきたんですが、途中で諦めて雑踏に消えていきましたよ。


 これは本当にひどかったですね。何がダメって、まず、自分の危機管理能力の低さです。
 まぁ、まだ明るい中で周りにも人が居て、かつ、凶器を持っていそうな感じはなかったので、こういう対応になってしましたが、ナイフとか持っているかどうか、100%わかるわけではないですからね。
 そして、冷静になってから思うと、周りの人も揉め事には関わりたくなかったんだろうな、というのがよくわかりました。
 ここら辺は東京と一緒ですね笑
 結果論でしかありませんが、周りに人がたくさん居るようなところに家を借りていたから、こういうレベルの話で済んだので、これが、人通りのまったくない場所であったらどうなっていただろうか、なんて考えると怖いですよ。。。


 それに、「神様が云々」といかにも"施しは大事だ"みたいな雰囲気で言っていたのに、お金をもらえないとわかった瞬間に罵声を浴びせてきて、お前の神様はそれを許すのかと、どういうつもりなのかと、言いたくなってしまいますよね。
 私は敬虔な仏教徒ではないですが、いずれはお墓に入るという意味で仏教徒だと思っているのですが、そういうレベルでも仏様を利用して云々いうつもりはないので、今回の人のことは全く理解できません。
 現実を見れば、日本でも息子や孫を装って老人からお金を騙しとる詐欺が頻発してますし、神様に祟られると嘘をついてお金を巻き上げる人は昔からいるんで、なんて思ったりもするわけですが。
 ただ、その場合、騙す側の人間は神様のことなんてなんとも思っていないはずですが、今回私にお金を寄越せと話しかけてきた人は、その時の10分程度のやり取りの中で明確に某宗教の信者であることがわかりましたんで、そのあたりってどういう整理をしているんだろう、なんて不思議に思ったり。
働いてお金を稼ぐというのは、(少なくとも今までの経験上)非常に辛く大変なことでもあるので、そういう人が神様を持ち出して他人からお金を貰おうとすることに、なんとなく悲しい気持ちになりました。



 私もいい歳のオジさんなので、たった一人の例を以てその所属する集団全体の特徴であると考えるほど若くはないですし、それに、何処の国に行ったって悪い人間はたくさん居るわけで。
 もっと身近に考えれば、1つの会社の中だけを見たとしても悪い人間は居ますし。
 ただ、いずれ自分が本当に困った時に、精神的な支えになるかもしれないものを自ら冒涜するような行為に寂しさを覚えましたね。
 なんとなくですが、今回金寄越せって言ってきた時の言い分は、普段親切にしてくれた友人や恩人を裏切るような行為と同じではないかと感じてしまって。


 世の中は厳しいですし、自分の生活を守ることはとても大変ですが、それでも、大切な人やものを裏切るような行為をしてはいけないと思うのですよ。
 たとえ、世の中に人を騙すような人間がたくさん居て、歳を取るたびに心が荒んでいったとしても。